亜鉛不足と欠乏症。
近年、必須微量元素である亜鉛の不足による欠乏症に注目が集まっています。
こちらでは、不足の原因や、不足による欠乏症などを紹介していますので、当ページを参考にして、しっかりと亜鉛補給を心がけましょう。
不足による欠乏症状。
亜鉛は約300余種の酵素の活性中心元素として働いている必須微量元素ですが、近年では1日の必要量に対して摂取量が不足していると報告されています。
亜鉛が不足すると、下記のような様々な全身症状が認められます。
味覚低下、異食症、うつ状態・情緒不安定、運動失調、脂質代謝異常、認知症、妊娠異常、発癌増加、発育障害、脱毛、性腺機能障害、創傷治癒遅延、免疫能低下、皮膚症状、耐糖能低下、虚血性心疾患増加など。
その中でも最近、亜鉛不足との関連で注目されているのが「褥瘡(じょくそう)」です。
褥瘡とは、重症患者が長期間病床にある場合に、衣類や寝具によって圧迫を受けて、接触箇所で血行不全が起こり周辺組織に壊死を起こします。
この褥瘡において、一般的な治療を行なって改善がみられない患者に、亜鉛含有抗胃潰瘍ポプラレジンク(150mg/日)を投与すると、2週間後には肉芽が盛り上がり、5週間後には、ほぼ完治したという報告があります。
亜鉛欠乏の原因とは?
亜鉛欠乏が発生する原因の1つに栄養の偏りがあります。
さらに食品の精製・加工過程での亜鉛の流出やアルコールの多飲、肝障害・腎障害などの疾病、妊婦や新生児における亜鉛需要の増大も亜鉛欠乏の一因となっています。
亜鉛欠乏には吸収障害も問題となっています。
例えば、食物繊維を含む飲料などを摂取し過ぎると、亜鉛が食物繊維に吸着されて吸収が抑制されます。
また、亜鉛と吸収の過程で拮抗関係にある銅、鉄、カルシウムなどを過剰に摂取すると、亜鉛の吸収が阻害されます。
さらに、降圧剤として有名なカプトプリルや抗うつ剤、糖尿病治療薬、脂質異常症治療薬などおよそ200種類の薬剤で、亜鉛の吸収を抑制することが知られています。
生活習慣病と亜鉛の関係。
生活習慣病や老化は、微量元素の欠乏と非常に関係が深いと言われています。
老化の病態的背景にはフリーラジカルの上昇、免疫能の低下、血圧の上昇、脂質代謝異常、耐糖能低下などがみられますが、実はこれらは亜鉛、銅、鉄、セレン、クロムなどの微量元素が欠乏しても、同様の病態が観察されています。
特に、亜鉛欠乏では老化の主要な病態と全く同様な病態が見られますので、生活習慣病や老化の予防の為にも亜鉛をしっかり摂取しましょう。
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